校長室の窓から

「こんな学校でありたい」という5つの目標
2019/04/09

新元号が発表され、平成から「令和」になり、時代は間違いなく変化していきます。グローバル化は当たり前のように身近なこととなり、人も情報もすぐ手の届くところとなっています。英語は世界共通言語ですからその習得は必修ですが、芸術やスポーツもまた世界共通言語として嗜んでほしい。2020年の東京オリンピックパラリンピック、そして2025年の大阪・関西万博は日本のグローバル化をさらに推進するでしょう。

AIは急激な進化を遂げており、人々の生活を豊かにしていくことでしょうが、一方で、今まであった人間の仕事を奪っていくことにもなるでしょう。少子高齢化の日本にあっては、特に少子化に歯止めが効かず、労働力人口そのものも減っていき、国としての存在の危機さえ感じざるを得ません。となれば尚更のことAIの進歩に期待はかかってくるのです。労働力不足と言えば、この4月から出入国管理法が改正され5年間で34万5000人の外国人労働者の受け入れを見込んでいるとも言われています。

では、そういったことがすでに予想されている未来社会で生きていく生徒たちは、この中学高校時代に、いったいどんな力を身に付けていけばいいのでしょうか。

その答えがここ東京立正にあります。

「人の心の中に塔を建てよう」という精神と「生命の尊重・慈悲・平和」という理念のもとに、「こんな学校でありたい」という5つの目標を立てました。

「文部両道の極み」を希求し、授業が面白くて部活動が楽しい学校

 勉強も部活動も一生懸命で、心の軸となるような背骨が一本まっすぐに入っている人となる。課題は自分事と捉えて取り組み、自分の可能性を閉じ込めない。そして、数値で測れる力と数値では測れない力を身につける。

「全員レギュラー」 補欠は一人もいない学校

 私のいる場所、あなたのいる場所がちゃんとあり、それぞれの違いを認め合う自己肯定感と他者肯定感が育ち、仲間を一人もあきらめない。

 これは、主体的で対話的で深い学びを実現するアクティブラーニングの前提となります。

「挑戦と失敗」を応援する学校

 学校とは、先生が生徒に失敗をさせないところではなく、生徒が積極的な行動を起こし、失敗をし、そこから学び、次の挑戦をしていくところです。

 前向きな挑戦と失敗をたくさんしてほしい。

「なぜ」を追求する学校

 テレビで言っていた、雑誌に載っていた、大人が言っていた、ネットに載っていた、今までそうだから、などといってそれが正しいと鵜呑みにしてはいけない。 

目の前にある「当たり前」や「常識」といわれるものに、いったん立ち止まって「なぜ?」と考え、本当にそれでいいのか問いかけ、思考停止することなく自ら判断する人になってほしい。

「教室から世界を変える」と挑戦する学校

 世界にはいまだ紛争が絶えず、貧困に苦しみ、国を離れて難民となる人々がたくさんいます。差別や自然災害・環境破壊も終わることがありません。仮に、教室が世界の縮小だとしたならば、この教室からでも、そんな世界を少しでもいい方向に変える一歩がはじまるはずです。大きな声を出す人が正しい訳ではない。多人数が正しい訳でもない。小さな声や少数派であっても正しいことは正しいという世界であってほしい。

そして、身の回りのことを広く深く情報を得て、ネットワークを広げ、AIを駆使すれば、具体的で創造的なプロジェクトだってスタートできるのです。

 

この5つの目標が実現すれば、

生徒たちを必ず幸せにすることができると確信しています。

 

その第一歩は時間です。「時間とは命そのもの」と解釈し、自分の時間も友達の時間も大切に扱う習慣を身に付けることから始めます。

ですから、今まであることが当たり前だった、チャイムをなくします。チャイムという合図から解放され、自らが自由と責任を背負って時間を管理する側になるのです。

 

時間についてはこんな言葉があります。

1年間の大切さを知るには 浪人生に聞くとよい

1か月の大切さを知るには 早産をした母親に聞くとよい

1時間の大切さを知るには 待ち合わせをしている恋人に聞くとよい

1分の大切さを知るには 電車に乗り遅れた人に聞くとよい

1秒の大切さを知るには たった今事故を避ける事ができた人に聞くとよい

1/100秒の大切さを知るには オリンピックで銀メダルに終わった選手に聞くとよい

だからあなたの一瞬一瞬を大切にしましょう。そして、あなたはその時を大切な誰かと過ごしているのなら、十分に大事にしましょう。その人は、あなたの時間を使うのに十分にふさわしい人でしょうから。そして、時間は誰も待ってくれないということを覚えましょう。

昨日は、もう過ぎ去ってしまいました。明日は、まだわからないものです。

今日は、与えられるものです。だから、英語では今を「Present」と呼びます。

 

私たちには必ずできると信じています。なぜならば、すべては人の心が決めるからです。

 

たとえ空に限りがあるとしても 自己に限りを設けるな

かくなりたいと願え さらば成就せん

 

東京立正中学校・高等学校 

第11代校長 梅沢辰也

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