新型コロナウイルス感染拡大防止対策のもと、
規模を縮小して卒業式を挙行することができました。保護者の皆様と共に門出を祝えなかったことが残念でなりませんが、生徒たちは立派に卒業していきました。最後の答辞では生徒たちは涙していました。以下に校長式辞を載せさせていただきます。
式 辞
今私たちは日本人の一員として、世界の一員として、新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと戦っています。そんな非常事態の中、今日こうしてみなさんが集い、卒業式を迎えることができて本当にうれしいです。高校3年生のみなさん、卒業おめでとう。そして今日はこの場にいらっしゃることが叶いませんでしたが、無償の愛を注いでいらした保護者のみなさまにも伝えたい。ご卒業おめでとうございます。
さて、先ほどみなさんにお渡しした卒業証書とは何でしょうか。それは、国語・数学・英語などの教科の単位取得の証明だけではなく、体育祭や紫苑祭などの行事や部活動やたわいのない休み時間も含めたすべての瞬間における学びの終了証なのです。授業では正解を求められることの方が多かったでしょう。これは極めて重要な、学びの基礎と言えます。しかし、学校生活には正解がなんだか分からないものもたくさんあったことでしょう。東京都代表になって全国大会で活躍するには。友達とはどうやって付き合っていけばいいのか。誰とお弁当を食べるのか。どの分野に進学したらいいのか。いや、そもそも自分とはいったい何者なのだろうか・・・と正解のない問いの答えを探す日々もあったに違いありません。新型コロナウイルスにいかに対応していけばいいのかなども正解はどこにもありません。しかし、みなさんがこれから出ていく社会ではこのような問いが非常に多くなります。マニュアル通りの解答を探すだけでは対応できないのです。ここで獲得した知識や経験や創造力を駆使していくことになるでしょう。
更に、以前全校集会で言ったことを覚えていますか。何故勉強するのかの大きな一つの理由として「世の中には賢い大人だけでなくずるがしこい大人がいるから、その人達にあなたたちの大切な時間や財産を搾取されない。そして大切な人を守れるような力をつけるためにも勉強しなさい」と。みなさんしっかり勉強できましたか。
また、社会にルールがあるように学校には校則があって、みなさんはそれに守られていましたね。しかし、それは時としてみなさんにとって窮屈なもので、不自由だなあと感じたことがあったかもしれません。でもいいですか、この不自由な感じが実は大事だったといいたい。不自由という言葉を知るから「自由」という言葉を知り、乾いている自分を突き動かそうとするのです。大人に与えられた自由なんて、大人に奪われる自由と変わりません。自らの責任を伴いながら、変化を求め、未来を獲得しようという意思や行動こそ真の自由であり、これからのみなさんにとって必要なものなのです。
さあ卒業生のみなさん、建学の精神「人の心に塔を建てる」建学の理念「生命の尊重・慈悲・平和」を掲げましょう。そして、みなさんが生きていく未来を自分自身で作りましょう。全ては人の心が決めるのです。
結びに、私の大切にしている言葉を贈ります。
~たとえ空に限りがあるとしても
自己に限りを設けるな
かくなりたいと願え さらば成就せん~
令和2年3月2日
東京立正高等学校 校長 梅沢辰也
※東京立正LINE(アカウント:@tokyorissho)にて卒業式の動画がご覧いただけます。是非ご登録ください。