校長室の窓から

中学校卒業式
2024/03/18

本日は第77回中学校卒業式を挙行しました。生徒のみなさん、保護者のみなさまご卒業おめでとうございます。コロナ禍で始まった中学生活でしたが、無事に本日を迎えることができました。ありがとうございました。下記に式辞を載せますのでご覧ください。

式辞
 
 早春の強く冷たい風に耐えて咲いた梅の花。次に出番のモクレンは、そのつぼみを膨らませ、時が来るのを待っています。今まさに春の臭いを感じられるようになり、出会いと別れの季節がやってきたことを実感しています。義務教育を修了し、次のステージへのスタート準備を迎えたということです。
 3年生のみなさん、卒業おめでとう。保護者のみなさま、お子様の卒業と9年間の義務教育の終了を心よりお喜び申し上げます。中学受験をする児童が小学生全体の2割程度しかいないのにもかかわらず、その志を立て、本校への受験を決めそしてご入学いただいたことに改めて感謝申し上げます。また本日はご来賓のご臨席を賜りまして誠にありがとうございます。生徒たちの門出をご一緒にお祝いできること嬉しく思っております。
 中学校時代というものは、思春期であり、心と体の成長が著しい時です。それはつまり心も体も不安定でザワザワすることが自然であるということです。さらにみなさんは、新型コロナウイルス感染症と戦い、そして共存する学校生活を余儀なくされてきました。振り返れば、2020年小学5年生の3月には休校要請を受け、登校することができなくなりました。4月からは小学校最高学年のスタートをワクワクしていたにも関わらず、緊急事態宣言発令で町からは人が消え、全国的な休校となりました。外にも出られず、だれにも会うことがなく、自宅で課題の山に取り組む日々がどれほど不安だったことか。われわれ東京立正の教職員も初めてのことで、何をどうすればいいかの正解がわかりませんでした。オンライン会議が長時間になっていたのを思い出します。結局緊急事態宣言は延長され5月末までとなり、自宅学習がさらに続き、友達とも会えず、みなさんやご家族にどれほどのストレスがあったかと思うと心が痛みます。すべてが最後となる6年生で、行事や校外活動が中止となりさぞかし悔しい思いをされたのでしょうね。またお子様の成長を楽しめる大切な時期に制限があったと思うと保護者の皆様の苦しい心中をお察し申し上げます。中学受験を決意されたにも関わらず、学校選択の機会も制限があり苦難の連続であったに違いありません。
 そして、2021年4月入学。本校は教育理念「生命の尊重・慈悲・平和」に基づいたあるべき姿で一貫していました。それはできない理由探しではなく、できる理由探しであり、多くの教育活動を通常通りに行うことでした。宿泊行事は3年間すべて実施しましたね。これは全国的にも珍しいことです。1年次の身延参拝旅行・2年次の京都奈良修学旅行・3年次の静岡ランゲージヴィレッジ語学研修。身延山の階段を登り切った(いや、走り切った)達成感。本当に暑かったけれど、タクシー研修が楽しかった京都。NO JAPANESEはボディランゲージで乗り切った静岡はいかがでしたか。
 また、東京都の感染者数が急増しても放課後の部活動を継続し、女子バレー部は関東大会準優勝・全国大会ベスト8。ソフトボール部は関東大会優勝、全国大会第三位を獲得しました。私も四国に応援に行きましたが、あの暑さの中で本当によく頑張りましたね。行事としては、体育祭のダンスは元気いっぱいで激しい本校の体育祭に可愛らしい色を添え、紫苑祭の校内展示はどの学年も見ごたえがありました。最高学年の合唱コンクールは楽曲と歌声にグッと来たことも記憶に新しいところです。
 私はつくづく思います。東京立正の方針がいかに意味のあることであったか。この方針でやっていこうとする教職員の方々と、それを受け止めてくださった保護者のみなさまに感謝の思いでいっぱいです。生徒のみなさんにはまだ分からないかも知れませんが、何も考えないで思考停止してしまって周りと一緒にすることのほうが楽なのです。しかし、それでは本校を選んでもらった意味がないのです。「生命の尊重・慈悲・平和」を掲げる本校だからこそ、みなさんが持っている自然治癒力を落とさないように、夜型生活にならず、いつも通りに朝起きて、太陽を浴びて登校し、友達と会って授業を受け、放課後は好きな部活動に没頭するという道を選んだのです。それでもコロナの感染力に負けないように当たり前の予防を当たり前になるまでよく頑張りました。
 そして今年度5月には2類相当から5類へと感染症の扱いがやっと変更になりました。しかし、コロナそのものはなくなっていないし、インフルエンザの流行が戻ってきたのですからこれはまた大変でしたね。事がコロナでなかったとしても、みんなが言っているからではなく、テレビから聞こえてくるからではなく、自分の頭で考えてほしい。考えるための情報を得てほしい。分からなければ分かることが出来るように勉強するのです。そうしてみなさんは中学を卒業し、心・体・頭が大人へ近づいていきます。しかし、大人とはいつからのことを言うのでしょうか。法律的に見た18歳か20歳か。あるいは、「世の中そんなものだよ」と気が付いたらあきらめた感じで言ってしまっている時からなのか。そうであってほしくはありません。
 1月1日、能登半島地震が発生しました。お正月で家族や親せきが故郷に集まる日です。なんでわざわざこんな日にと。崩れた家の中から子供の声が聞こえてくるのに助けることができないなんて、どれだけ想像力を働かせようしても想像できません。東日本大震災の時もそうでした。毎日のなにげないたわいのない生活がどれ程幸せなことか。こうしている間も苦しんでいる方々がいます。私たちには何ができるのでしょうか。まずは知ろうとすること、そして小さなことでいいから何かをしようとすることです。他人ごとではなく自分事にする何かを。
かくして世の中には思い通りにいかないことがたくさんあって、理不尽なこともいたるところにあります。くじけそうになってしまうこともあるでしょう。それでもみなさんには夢や未来を恥ずかしげもなく語る大人になってほしいのです。真っ白なモクレンのような理想を掲げてほしい。何故ならば、みなさんの意思だけがこの世界を変えることができる唯一の望みだと私は信じているからです。何を思い、何を語るかによって未来は変わります。
 
マザーテレサをこう言っています。
思考に気を付けなさい それはいつか言葉になるから
言葉に気を付けなさい それはいつか行動になるから
行動に気を付けなさい それはいつか習慣になるから
習慣に気を付けなさい それはいつか性格になるから
性格に気を付けなさい それはいつか運命になるから 
 
結びになりますが、先の見えないこの社会で、みなさんのことを第一に心配し暖かく見守り、日々送り出してくれたおかあさん、おとうさん、ご家族に「ありがとう」と言葉にして伝えてほしい。そして、東京立正で鍛えられ、培った生きる力が、これからのみなさんの支えとなることを心より祈念しています。
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